🌸マインドフルネス2.0(第2部) 新しいマインドフルネスの提案/観察の限界

この記事は前の記事(🌸マインドフルネス2.0(第1部) )からの続きです。

前記事の最後で書いたのは

確かに、Jack Kornfield さんや Tara Brach さんが教えるマインドフルネスとは、

冷たい観察(detached observation)ではなく、
「優しさを伴う観察(compassionate observation)」です。

しかし、もし「おばあちゃんが孫を見守るように」やさしく親切に。。。

怒りを観察しても、怒りは怒りのまま。。。
不満を見ても、不満のエネルギーはそのまま残っている。 ということでした。

凡夫にはいつまでも、現象が現象にしか見えないので、凡夫なのである

普通の人間(凡夫)からすると、観察は、“客観的に眺めること”ができているようで、
実はまだ主客が分離した意識の構造の中で動いています。

観察する自分と、観察される自分の感情――
その間に引かれた大きな“境界線”がある。

しかし、本当の「ワンネスの観察」では、それがまったく逆転します。

怒りは、圧倒的な愛でしかない。
悲しみは、信じがたいほどの喜びでしかない。
失望は、宇宙全体を支配する深いエクスタシーでしかない。

不満も欠乏も、本当は、自由と解放でしかない。

この様な瞬間は――
観察しているのは「自我」ではなく、「愛そのもの」になります。

愛が、怒りという衣をまとった愛を見つめている
愛が、悲しみという形で現れた自分(愛)を抱きしめている。

このとき、「観察者」と「観察されるもの」はもう存在しません。
見ることと包むことが、同時に起こっている。

それが、本当の気づきであり、
本当の観察です。 本当のマインドフルネスです。

🌸 優しさをもって観察するとはいえ。。。

「優しさをもって観察する」とは、感情を拒まず、判断せず、
ただ抱きしめるように見守ること。

たしかに、怒りを観察すれば、その勢いは一時的に静まります。

でも。。。怒りを観察しても、怒りは怒りのまま。 不満は、不満のまま。

つまり、「受容」は、静かな同居を生みます。
しかしそれはまだ、根源的な変容(transmutation)――には至らないのです。

観察している自分の意識の質そのものが、“愛の波動”へと変わっていないからです。

言い換えれば、
私たちはまだ凡夫としての自分――
分離した小さな自我のままで、感情を観察しているのです。

 エックハルト・トールのような存在は。。。

彼の様な意識からは、境界線の向こう側――
宇宙意識の領域から「観察」をしています。

だから、彼にとっての観察とは、
「私が悲しみを見ている」ではなく、
存在そのもの(永遠の愛)が、悲しみという表面の波を、太平洋全体としてただ眺めている、そんな状態です。

そこでは、悲しみと観察者はすでにひとつ
怒りも、不満も、
「愛の海」の中の一つの波として見えている。

だから彼は言うのです。

“Pain is never personal. It’s part of the human condition being seen through.”
(痛みは個人的なものではなく、人間という現象を通して見られているだけだ。)

でも、ほとんどの私たちは。。。 
その“愛という全体”に接続されていない状態で「観察」しています。


だから、いくら観察しても、
悲しみは悲しみとしてしか感じられない。
怒りは怒りのエネルギーとして、ただそこに残る。いつまでも。。。。

🌸  順番を逆にする:観察の前に、愛を流す

だから、順序を変えるのです。
「観察して落ち着く」のではなく、
“愛を流してから”観察する。

あるいは、観察しながら、同時に愛を流す

まず、愛の流れを心と身体に呼び戻すのです。
それは「好き」「安心」「ぬくもり」といった波動。

愛とは、安心のこと。

愛とは、あたたかい優しさのぬくもりの中で、安らぎ安心していること。


その愛の温度が、
私たちを本来の“永遠の愛の流れ”へと再接続させます。

観察とは、本来、愛が自分を見つめる運動

観察者と観察されるものが溶け合い、
「愛そのもの」が自分を体験している状態

だから、本物のマインドフルネスとは、
永遠の愛の中に完全に溶けて存在すること

愛という安心のない場所では、
人はどうしても“自分”にこだわり、思考にしがみついてしまいます

「自分として、今日は頑張って生きなければ。。。」
「次に何をしなければいけないのか。。。」

だからまずは、順番を逆にして――
愛を流す → 瞑想を準備する

愛のエネルギーは、
観察のための「やわらかい土壌」をつくる。
その上に初めて、静寂の花が咲きます。「観察」が楽になります。

それが提案する――
マインドフルネス2.0:愛を流す気づき

🌙 愛を流す観察 ―― 変化を急がず、波をなでるように

けれど――
それで急に不安や悲しみが消えるわけではありません
ましてや、主客が合一したり、急に宇宙意識に一瞬で接続したりするわけでもありません

「愛を流す」とは、
苦しみを一挙に“消す”ことではなく、

苦しみの中でも愛の流れを思い出すこと

「愛の流れ」を呼び戻すのです。
それは「好き」「安心」「ぬくもり」といった、とても静かな波動。
まるで、凍えた手を少しずつ温めるように、
自分の内側にやさしく光を戻していく感覚です。

悲しみの中にもわずかな温度が戻り、
不安の中にも、小さな安心の波が生まれはじめる。
変化はゆっくりです。
でも、確実に方向は変わる。

愛は、氷を砕く力ではなく、
氷をゆっくり溶かすあたたかさなのです。


次の記事に続きます。: 🌸マインドフルネス2.0(第3部):「愛を流す瞑想」の哲学と実践 愛を流す新しいマインドフルネス

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